jpg


昼間、親父から何度も携帯に電話があった。
この場合、これまでの経験上、決して良い話しではない。

家に帰り、親父に話を聞いてみると、おばあちゃんが亡くなった、ということだ。
もう90歳を超えていたので、大往生と言って良い。

俺には、香典と火葬に参加してくれないか、ということだった。


葬式はやらず、直接、火葬場で焼くらしい。
金がないから。

親父は3人兄弟なのに、そのうちのひとりも親の葬式を行う金がない。

親父のふたりの兄弟に関しては知らないが、親父については補習班、家計を俺が管理している、という都合上、葬式費用は俺が工面しなくてはいけない気がしたが、ただでさえ年金で足りない生活費を出している状態なのに、葬式となったら、安くあげても50万円くらいはかかるので、とてもじゃないが、俺が出す、とは言えなかった。

葬式については、それ以上、触れず、香典はいくら必要なのか聞いたところ5万円を出してほしい、と言われたので、その通りにしたよ。

しかし、おばあちゃんも不憫だよな。
子供が3人もいて、誰も葬式すらあげてくれないんだから。

親父の兄弟のひとりは創価学会員なんだよ。
だったら、学会に葬式代がないから、何とかしてくれ、とお願いしてみたらどうか。

信心深い信者のために何とかしてくれんじゃないの。
もしも、けんもほろろに拒否されるようなら、そんな宗教、信仰する価値なんてないだろ。


火葬への参加は申し訳ないけど、断ったよ。
あんまり親父の親族に会いたくない。
弟に関しては、火葬の参加も香典も拒否した、ということだった。

本当に呪われた家系だよ。
俺の代で滅ぼさなくてはいけない、と痛感したね。

とはいえ、意図的に滅ぼそうとしなくても、俺も弟も生涯独身だろうから、自動的に系譜は途絶えるだろうけど。